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横浜市の未来を共創する「脱炭素ダイアログ Vol.1 」【イベントレポート】



 

2024年12月4日、イベント「脱炭素ダイアログ Vol.1」を開催しました。このイベントは、横浜市とあいおいニッセイ同和損保株式会社(以下、あいおいニッセイ同和損保)の協働事業である"循環経済等に資する魅力的な脱炭素ライフスタイル創出・浸透事業"における、「服からはじまる脱炭素ライフスタイル」の関連イベントです。当日は、脱炭素ライフスタイルをテーマに、行政、企業、市民で集まり対話を行いました。

本記事では、イベント当日の様子をレポートします。

 

オープニングトーク:脱炭素ライフスタイルに向けた行政と企業の取り組み


まずはじめに横浜市脱炭素・GREEN×EXPO推進局脱炭素社会移行推進部脱炭素ライフスタイル推進課の飯島担当係長から、市民・事業者・行政が一体となって取り組む横浜市の脱炭素プロジェクトの紹介がありました。家庭部門でのCO2削減の必要性を強調し、衣料品回収の成果や未来への展望を伝えた上で「市民一人ひとりの行動が鍵」と話しました。



次に、あいおいニッセイ同和損保の朝隈横浜第三支社長が登壇し、保険会社が脱炭素に取り組む背景を参加者に伝えます。「私たち保険会社にとっても、気候変動や脱炭素は他人ごとではなく、取り組むべき喫緊の課題です。なぜなら、自然災害が増えることで保険の支払いは増加し、ひいては保険会社の持続可能性が脅かされることに繋がるからです。」と具体的に説明しました。持続可能な社会の実現が、企業としての使命であることを強調した上で、これまでの取り組みとして、環境活動を促すアプリやシェアサイクルの導入について紹介しました。単なる啓発ではなく、「行動する楽しさ」を提供する仕組み作りの重要性を述べました。




映画『リペアカフェ』:修理文化が描く、モノ以上のモノを直す社会

 

オープニングトークのあとは、ハーチ株式会社(以下、ハーチ)初のオリジナルショートドキュメンタリー映画『リペアカフェ』を上映しました。お店では修理を受け付けてくれない壊れた家電や服、自転車など、あらゆるものを地域のボランティアが無料で直してくれるオランダ発祥のリペアカフェを追った、壊れかけた「モノ以上のもの」を直す人々の物語です。

 

上映後の感想共有時間には、とある参加者から「リペアカフェの魅力を十分に感じられた一方、自分は裁縫も機械を直すこともできないという事実に気がつきました。ただ、そのことに絶望するのではなく、完璧でなくてもよいから、自分のできることからやってみようという勇気ももらうことができました」という声が聞こえました。リペアカフェを通じて、日常生活において自分のできることに挑戦してみようという、脱炭素ライフスタイルの第1歩につながる気づきを得たようです。




クロストーク:衣料品の資源循環を促す、コミュニティの重要性

 

イベント後半のクロストークでは、サーキュラーエコノミーやサステナブルの分野で活動する3名が登壇し、衣料品についてはもちろん、コミュニティにおける様々な資源の循環について議論を展開しました。


クロストークの様子
クロストークの様子

坂野晶さん(株式会社ECOMMIT 上席執行役員CSO)

 

坂野さんは、衣料品回収事業を通じた資源循環の現状と課題を参加者に紹介しました。そして、廃棄物の分別やリサイクル技術のコスト問題、捨てることが簡単になりすぎた社会の構造的課題に言及しました。また、「行動を続けることで意識が変わる」という考えから仕組み作りの可能性を強調し、廃棄物削減への意識変革を、データと具体例を交えながら語りました。


株式会社ECOMMIT 上席執行役員CSO 坂野晶さん
株式会社ECOMMIT 上席執行役員CSO 坂野晶さん

加藤佑(ハーチ株式会社 代表取締役)

 

映画「リペカフェ」を制作したハーチの加藤は、地域に根ざした循環型社会の実践例となる「リペアカフェ」のあり方を紹介しました。修理やアップサイクルを体験できる場は、人々がモノに対して抱く感情をアップデートできると述べました。また、コミュニティの持つ「参加しやすさ」が行動変容の鍵であると説明。循環経済の活動を通じた地域活性化の重要性について語りました。



ハーチ株式会社 代表取締役 加藤佑
ハーチ株式会社 代表取締役 加藤佑

治田友香(関内イノベーションイニシアティブ株式会社 執行役員)

 

治田は、コミュニティスペースを活用した行動変容の促進について提案しました。地域のつながりが人々の行動を変える重要な要素であることを強調し、「交流の場が新たな価値観や行動を生み出すのでは」と、benten103での取り組みに触れながら脱炭素ライフスタイルのあり方について話しました。


関内イノベーションイニシアティブ株式会社 執行役員 治田友香(中央)
関内イノベーションイニシアティブ株式会社 執行役員 治田友香(中央)

参加者交流会:より豊かで循環する脱炭素社会を作るために

 

イベントの最後には、参加者交流会を実施。自由な対話を通じて、新しい視点やアイデアが共有されました。ある参加者は、「例えばごみや廃棄物削減の話になると、『それは行政がやるもの』と考えるひとが多いと思っていました。しかしこれは、税金を払っているから、またはもらっているからのような権利の話ではなく、人間本来のつながりと幸福な暮らしのためにあるべき話なのだろうと、今日の対話を通じて感じました」と感想を述べ、より豊かで循環する脱炭素社会の実現を自分事として捉えている様子が伺えました。


交流会の様子
交流会の様子

イベントの終わりには、衣料品のリサイクルや修理についての具体的なアクションをどのように起こせるかという議論も持ち上がり、熱気あふれる交流の場となりました。




参加者による意見交換の様子
参加者による意見交換の様子

開催後記

 

「サステナブル」「SDGs」「脱炭素ライフスタイル」など、環境や社会への配慮を促す言葉を目にする機会が増えています。

 その言葉を時にプレッシャーに感じる人もいるかもしれません。しかし市民にとっては、実際に生活が豊かであるのか、今生活している場所や環境が自分にとって幸せなものであるのか、も行動を起こすうえで重要なポイントです。

 リペアカフェを観た参加者のなかには、「自分もリペアカフェをやってみたい」という想いを抱く人が多くいました。それは、オランダでのリペアカフェが義務ではなく、自主的な取り組みとして展開し、それが関わった人々の幸せにつながっていると感じたからではないでしょうか。

 脱炭素ライフスタイルは、一朝一夕で実現できるものではありません。だからこそ、衣料品回収や資源循環を通して人と人がつながり、コミュニティで多くのコミュニケーションをとっていくことが重要なのだと感じます。

 環境や社会をより豊かなものにしていくため、今後も脱炭素ライフスタイル実現への模索は続いていくでしょう。

 

Circualr Yokohama編集部

 

 

■トーク&フィルム鑑賞イベント「脱炭素ダイアログ vol.1」 開催概要

 

日時:2024年12月4日(水)18:30~20:30 開場18:00

場所:コミュニティラウンジ「benten103」

(横浜市中区弁天通3-47-2 フロール横濱関内103)

主催:横浜市、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(共同事業者)

協力:ハーチ株式会社(IDEAS FOR GOOD・Circular Yokohama)

事務局: 関内イノベーションイニシアティブ株式会社




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